縮みづらく、垂れにくい

吹付用漆『 魁』

通常、刷毛塗り用の漆を吹き付けると、垂れや縮みが起こりやすく、技術的に難しいとされています。そこで需要が高まったのが吹付用漆。しかし、漆に合成樹脂塗料が添加された従来の吹付用漆は、乾燥後の塗膜硬度が弱い為、擦り傷が入りやすく、経時変化による「やせ」も目立つという欠点がありました。 

魁(さきがけ)は、こうした欠点を最小限にする吹付用漆。これまで京都迎賓館の調度品に採用されるなど、様々な場所、用途でご利用頂いています。(写真1・2・3参照)

( 写真1 )
ヤマハ発動機株式会社 水上バイク「Royal WaveRunner」にも魁が使用されています。
デザインマネージメント:株式会社GK京都/Photo by Yoshiyuki Kurata

魁も従来製品同様、縮みや垂れを防止する為、ポリウレタン樹脂が添加されています。数あるウレタン樹脂の中で、漆との相性をテストし、最少量の添加で、かつ漆の硬化を妨げず、相乗効果の出る樹脂を選んでいます。

他社製品と異なるのは、漆に対する合成樹脂の添加量。当社の場合は漆90-95%ポリウレタン樹脂5-10%。合成樹脂を多くすることで、作業効率を上げ、安価にするという発想ではなく、逆に最少限にすることで、漆の性能を最大限に活かしながら作業性や効率もアップ出来るという発想で製造しています。艶消以外の魁は光琳漆をベースにしており、塗装後の塗膜硬度は刷毛塗り用漆と同程度になり、従来の吹付用漆では困難だった呂色磨きも可能となりました。

( 写真2 ) 魁塗装パネル

使用方法は、主剤(漆90-95%・ポリウレタン樹脂5-10%)8に対して添加剤(ポリウレタン樹脂)1の割合(顔料を含む場合を除く)で混合して頂き、専用希釈剤で薄めて吹付けしてもらいます。吹付用漆としては珍しく、極早口~極遅口まで乾きの調整も可能です。

JIS規格や仏壇公正競争規約にも「漆」「漆塗り」として適合するように、合成樹脂の添加量を考慮してあります。

※仏壇公正取引協議会

( 写真3 ) 鉄フレームに魁赤呂色を2回塗装